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吉井 文男
J. Radiat. Steril., 1, p.171 - 194, 1993/00
医療用具素材の照射劣化について、特にポリプロピレンは照射に対し極めて劣化しやすい。本報告では、ポリプロピレンの劣化の抑制法について、これまで報告したデータを中心に総説としてまとめた。1)電子線滅菌はガンマ線滅菌に比べ酸化が起きにくいので劣化が抑制できる,2)ポリマーのモルホロジーの観点から抑制法を見出した。プロピレンにエチレンを2~8%共重合した共重合体と成形後急冷により得た試料は、耐放射線性に優れている。ポリプロピレンの透明性と成形サイクルを上げるために添加する造核剤は劣化を促進するので、放射線滅菌を目的とした場合は添加は好ましくない。
吉井 文男
医科器械学, 62(2), p.78 - 86, 1992/02
原研では医療用具素材であるポリプロピレン(pp)の電子線とガンマ線の照射劣化の比較と耐放射線性を上げるための研究を行っている。電子線照射はガンマ線よりも照射中の酸化劣化および照射後の経時劣化が少なく、その違いは化学発光法による酸化量の測定から明らかにした。耐放射線性の高いppは、エチレンと共重合した共重合体、高分子量ppおよび成形後急冷によって得たポリマーであることが分った。以上の結果をもとに医療用具素材の照射効果からみた電子線滅菌についてまとめた。
石垣 功; 吉井 文男
Radiation Physics and Chemistry, 39(6), p.527 - 533, 1992/00
医療用具には種々のポリマーが使用されているが、本論文ではポリプロピレンを中心に放射線滅菌における電子線と線による照射効果について述べる。ポリプロピレンは、電子線照射の方が線よりも酸化劣化が少なく、これは化学発光量の測定から明らかにした。線では、試料の表面と表面より深いところまで酸化するのに対し、電子線では表面でのみの酸化であった。ポリプロピレンの耐放射線性を上げるには、エチレンを添加した共重合体、高分子量ポリプロピレンおよび溶融成形後急冷により得た試料であることが分った。
伊藤 均
医科器械学, 60(10), p.469 - 475, 1990/10
電子線の滅菌作用は基本的には線と同じであるが、電子線は線と比べ(1)物体への透過力が小さい、(2)散乱線の影響が大きい、(3)線量率が著しく高い、(4)エネルギー利用効率が高い、などの特徴がある。ことに電子線は線量率の影響によりBacillus属やStreptococcus faeciumなどでの必要滅菌線量が若干多くなる傾向が認められている。この原因としては、細菌芽胞又は細胞を照射するとき、酸素が共存すると殺菌を促進するが、高線量率下では生物活性点への酸素拡散が不十分となるため感受性が低下することで説明ができる。電子線は透過力が小さいため、3MeV以上のエネルギーでないと実用滅菌は困難であり、比重の高い材質の医療用具は照射技術に工夫が必要である。
吉井 文男
放射線化学, 0(48), p.34 - 37, 1989/00
ポリプロピレン(pp)は医療用具素材としてよく使用されているが、放射線滅菌を行った場合に著しく劣化する。そこでその劣化の機構と劣化の防止について述べる。劣化は酸化量の少ない電子線照射の方が線よりも少ないことが化学発光分析から明らかにした。ppには成形物の透明性と成形サイクを上げるために造核剤が添加されるが、造核剤は結晶サイズを小さくし、酸化を起きやすくするために耐放射線性は低下する。これらの事実から、劣化の防止に関しppの結晶構造に着目した結果、結晶化度を下げることが有効であることが分かり、そのいくつかの防止法を述べた。
Z.A.Kadir*; 吉井 文男; 幕内 恵三; 石垣 功
Polymer, 30, p.1425 - 1432, 1989/00
被引用回数:22 パーセンタイル:72.34(Polymer Science)医療用具素材のポリプロピレン(PP)は、成形の際に試料の透明性を上げることと成形サイクルの短縮をはかるために造核剤(パラターシャリブチル安息香酸アルミ、0.1%)を添加するが、これによるPPの照射に対する安定性を調べた。PPの照射の間および照射後の保存中の2つの劣化が造核剤の添加により増大する。劣化への造核剤の影響はPPの分子量により異なり分子量が低いほど劣化しやすい。この劣化挙動を明らかにするためにPPのモルホロジーについて調べた。
吉井 文男; 幕内 恵三
放射線と産業, 32, p.15 - 20, 1986/00
ディスポーザブル医療用具に使われているポリプロピレンの線と電子線照射による材質の劣化について、これまでの研究の結果をまとめて紹介した。照射中および照射後の径時劣化がポリプロピレン単独よりもエチレンを6%ほど含む共重合体の方が耐放射線性がよい。ケミルミネッセンスから求めた酸化度の分布は、表面ほど酸化されやすくある深さになると一定になるU字タイプの酸化層である。この表面から酸化量が一定になるまでの深さ、酸化層は、電子線照射よりも線照射の方が深い。そのために材質の劣化が線の方が電子線照射よりも起きやすい。したがって、試料の酸化劣化が少なく、かつ照射が短時間でできる電子線照射が滅菌に対し極めて有効であることが明らかとなった。
吉井 文男; 佐々木 隆; 幕内 恵三; 田村 直幸
J.Appl.Polym.Sci., 31, p.1343 - 1350, 1986/00
被引用回数:30 パーセンタイル:81.13(Polymer Science)ケミルミネッセンス分析により医療用具に使用されているポリプロピレンの照射中に形成される酸化層の測定を行った。酸化は酸素の拡散が容易なポリマーの表面付近で著しく起き、内部へいくほど減少するU字タイプの酸化度の分布を示した。ポリマー表面から酸化量が一定になるまでの深さ、酸化層は、線量率に大きく依存し、低線量率ほど深くなる。一方、ポリマー内部では、酸素の拡散が充分でないために酸化が起こりにくい。電子線照射の場合は、線と同様の酸化層が形成されるが、酸化の程度は、線の最も酸化されにく110rad/hrの線量率と比較してもそれの1/3である。したがって、電子線照射による材質の酸化は線に比べて著しく小さいということが分った。
伊藤 均; 石垣 功
食品照射, 21, p.1 - 7, 1986/00
医療用具の放射線滅菌はますますさかんとなってきており、最近ではバイオバーデンの調査より滅菌線量を決定することが多い。しかし多くの研究は有芽胞細菌を中心としたものである。そこで本研究では医療用具中の汚染微生物の種類をしらべ、有芽胞細菌及び糸状菌の放射線感受性の比較より滅菌線量の評価を行った。その結果、採血管、シリンジ、注射針中で最も多いのはBacillusで、Pseudomonas,Micrococus,嫌気性のPeptococaceaeも多く分布していた。糸状菌類も若干分布しており、Blastomyces,Penicillium,Haplosporangium,Euricoa,Audeobaasidiamなどが分離された。Bacillus属のD値は0.11~0.19Mradの間に分布しており、Peptococaceaeなどの細菌類は0.1Mradで検出されなくなった。一方、糸状菌類のほとんどはD値が0.08Mrad以下であったが、Audeobasidiumだけは抵抗性で0.28Mradとなった。したがって、滅菌線量はAudeobasidiumの混在があるとしても2~2.5Mradで十分である。
伊藤 均
放射線と産業, (32), p.21 - 25, 1985/00
電子線もガンマ線もイオン化放射線の区分に属し、生物効果は大差ないはずである。しかし、線量率とか透過力が著しく異なるため、微生物感受性が異なってくる可能性がある。スカンジナビア諸国で滅菌線量がガンマ線で3.2Mrad、滅菌用指標菌 Streptococcus faecium Alの感受線がガンマ線と電子線で異なるのも関係しているようである。原研での結果でも同様の抵抗性の増加が電子線で認められている。一方、Bacillus pumilus E601の結果ではD値はガンマ線と電子線で同じとなり、電子線では生存曲線の肩が認められるようになった。1cm厚ポリエチレン板中で、B.pumilus のD値より得られた深部線量分布はラジオクロミック線量計とほぼ一致し、電子線滅菌に有効な厚さは比重0.8g/cmのポリエチレン板中では、2MeVで約0.6cm、3MeVで1.25cmとなった。一般の医療用具の比重は0.16~0.2g/cmであり、反転照射すれば3MeVで14cm、5MeVで20cmまで滅菌可能である。
吉井 文男; 佐々木 隆; 幕内 恵三; 田村 直幸
J.Appl.Polym.Sci., 30, p.3339 - 3346, 1985/00
被引用回数:41 パーセンタイル:86.72(Polymer Science)医療用具の放射線滅菌に関して、線と電子線によるホモポリプロピレン(HP),コポリプロピレン(CP)およびポリメチルペンテンの照射中の劣化を比較し、その劣化の程度と化学発光分析による発光量との関係を調べた。HPは電子線と線のいずれの照射でも2.5Mradの滅菌線量で著しく劣化した。CPとポリメチルペンテンは電子線と線とで劣化の挙動が大きく異なり、電子線照射の方が線よりも安定であった。劣化はこの3種のポリマーの中でポリメチルペンテンが照射に対して最も安定であった。パーオキシラジカルの再結合反応により発光する化学発光量が線量とともに増大し、ポリマーの劣化とよく対応した。ポリマーの劣化は線と電子線による照射線源によらず酸化のみに依存することが分った。このように化学発光分析は照射ポリマーの劣化を評価するのに極めて有益であることが明らかとなった。